みんな、周瑜さまがお好き?

 今日は江森備さんの歴史小説「私説三国志 天の華地の風」について、私がずっと疑問に思ってたことを聞いてもいいでしょうか。

 あの~みなさま、やっぱり周瑜さまのファン?

 というのも、アマゾンとかブックメーターとかの書評を読んでみると、

 https://bookmeter.com/books/381492

 みなさまの周瑜への並ならぬ愛を感じる…。

 

 私自身、10巻まで全部読んだ人はみんな魏延が大好きになると思い込んでいるんですが、もしかしてそれは少数派なのか?

 

 というわけで、改めて1巻と2巻を読み返してみたんですけどね。「今日こそは、感じまいと思っているな?」。うん、いいぞ、いきなりエロい。孔明が女性的で陰湿だあ~。ちょっと「日出処の天子」の厩戸皇子のイメージに近いかな。「黙らぬか!」 わーやっぱり、鉄甲をはめた手で孔明をぶん殴ってますね。髪をつかんで引きずり起こす、刀のみねで打ち据える、太刀で髪の毛をちょん切る…これは時代的なのものなのか。現代の少女マンガではありえない王子様の暴力展開だ。こいつ、もしも自分が性的不能になったら、100%孔明と無理心中をはかるタイプだな。考えられる限りの派手な方法で。なんだろう、孔明周瑜が穏やかに暮らすさまが想像できない。どうしてもバイオレンスになってしまう…。

 でも、改めて読んでみると、孔明が非常に生き生きしてますねえ。「今度こそ、食うか食われるか。おまえに見ていられるかな」とか、名ゼリフですよね。「倍返しだ!」って感じ。周瑜と対峙しているとき、彼の腕をすり抜けて、彼を殺そうと画策しているとき、孔明は強くて美しいです。ある意味、周瑜によって、持っている力を最大限に引き出されているのでしょう。改めて、この物語の出発点には、支配的な男性との対決や女性のどうにもならない業のようなものがあると思う。

 で、いますっかり子持ちになってしまった私にはDV不倫クソ野郎にしか見えないんだけど、やっぱ「登場人物で誰が一番イイ男か?」って聞かれたら、周瑜なんでしょうね。少女のころにこの物語を読んでいたら、周瑜を好きになったかもしれません。なんかすぐだまされたり、歌ったり踊ったり、バカにしか見えない時もあるんだけど、問答無用のオーラがある。番外編でも、「太微東上神将」とか名乗って、何の努力もせず、おいしいとこをもっていくし。

 そして私は思いました。小林智美先生が本気で書いた周瑜のイラストが見てみたい。だって、電子版には挿絵がないんです。その後購入した古本9巻にも、周瑜のまともな挿絵がない! みんなが周瑜を好きなのは結局は雑誌連載時の小林先生の美しきイラストのせいじゃないのか?  それを見たい! これはやっぱ、画集を買うしかないのかな。