【呪術廻戦】五条悟の最期② 理解者がほしかった

 呪術廻戦のつづきです。その後、五条悟がかなりかわいそうなヤツじゃないかって思って、五条のことをだいぶ好きになりました。

 本編では目隠しが仮面のような役割をしていて、いつも余裕たっぷり、つかみどころがなく、それでいて道化のようで、感情移入のスキがありませんでした。夏のアニメ「過去編」を見ると、まだ「最強」でなかったころの五条の笑顔がまぶしい。サングラス姿の彼は夏油の隣で、自転車の後ろで、傘を握って、笑顔全開、本当に楽しそう。サングラスの奥の青い瞳はやっと心を許せる友達に会えた喜びに満ちています。しかしそんな本心は知らず、夏油は勝手に離れていきました。「君は五条悟だから最強なのか?最強だから五条悟なのか?」。別れ際の言葉がよほどショックだったのでしょうか。「五条悟=最強」という名前そのものが、五条を縛る呪いになっていたのかもしれない、空港で夏油が一度も「悟」と呼びかけなかったので、そんなことを思いました。

 最期の妄想があまりにも甘すぎて夏油のことばかり書いてしまいましたが、空港では七海・灰原も良き仕事をしています。

 236話の最期の空港の描写からわかったこと、それは、五条悟はただ、「弱いヤツは花にしか見えない」「戦闘狂(バトルマニア)」というとんでもない変態(!)な自分でも、惨敗してみなが望む「最強」でなくなっても、「お前がそんなやつだってことはわかってるよ」と笑って受け入れてくれる理解者が欲しかった。さらに踏み込んで言えば、「楽しかった」と他の男のことを身勝手に語っても、辛抱強く瞳の奥をのぞき込んで「君が満足したならそれで良かったよ」と寄り添ってくれる深い愛が欲しかった。それが、全てを持っていると言われた彼のたった一つの望みだったのです。

 家入さんは理解者でしたが、どうやら彼の眼中にはありませんでした(けっこうひどい)。生徒たちが慕ってくれても、心が満たされることはなかった。彼が夏油傑にこだわったのは、ありのままの自分を受け入れて理解してくれた、彼の心が帰る場所だったからです。

「これが僕の妄想じゃないことを祈るよ」。愛に満たされ理解者たちに囲まれた五条悟の最期の言葉。この愛と理解が本当に妄想(本人の思い込み)だったらあまりにもさみしいと、今は思っています。