【直虎21話感想】殿が暴走、政次が浮かばれなさすぎて悲しくなってきた

 前回20話ほどの面白さと爽快感はなかったものの、胸がザワザワする感じで終わりました。これは…先週初恋に別れを告げて、あっという間に新たな恋の予感。尼さんなのに、大河ドラマの主役なのに、こんなに肉食で、積極的でいいんだろうか…。

 

■直虎、気賀で暴走

 気賀という新しい舞台で映画「007」ばりのアクションで暴走し、盗賊団に誘拐された直虎ですが、ほぼ無傷で帰ってきました。政次の知恵で盗賊団をあざむいて、ほとんど何もとられないで済んだところまではよかったんですが…。直虎は誘拐されている最中に、盗賊団の頭領・龍雲丸(柳楽優弥さん)に、「領主こそ泥棒じゃないか」と言われたことが気になって、彼に手紙を書き、山あいの寺に呼び出します。
 にゃん渓和尚に間に入ってもらって、頭領を待つ直虎。この場面、好きな人に手紙を送って、来てくれるかな、って待つ女子みたいでした。見てる私もちょっとドキドキ。そして、そして、頭領は現れました。彼も何か期待するものがありそうです。しかし、直虎が話し出したことは…「人の卑しさをむき出しにせずとも済むような世をつくろうではないか」って…色気なし、意味不明です。
 自分を誘拐した盗賊を呼び出して、井伊での仕事を持ちかける。普通の感覚ではちょっと理解できないし、すぐれた領主のやることとも思えません。なんだかんだ理屈をつけていますが、これまで周囲にいなかったようなワイルド系があらわれて、惹かれてるんですね直虎は。どうしてももう一度会いたかったんです。彼とつながりを持ちたかったんです。「名はなんというのじゃ?」と龍雲丸に尋ねたときの、直虎の表情。上気した頰、ピンクの唇、とてもきれいでした。気づいてないのは本人だけで、柳楽くんにも、にゃん渓和尚にも、そして見てる私にも、バレバレですね。


■政次の献身ぶりに胸が苦しくなってきた

 やっと初恋から卒業して、誤解もとけて、政次との精神的つながりが深まり、日曜8時が至福の時間になる、かと思いきや、まさか他の男に目がいくとわ…。初恋の男(直親)を思い続けている間は、まあ仕方ないかな、と思っていたのですが、こうなると政次の献身ぶりに胸が苦しくなってきました。
 直虎が他の男の人を好きになったら、彼はどうするんでしょうか。それでも、彼女を助け、守り続けるのかな。「すべて次郎(直虎)さまのお好きに」。彼は優しすぎます。
 今回、直虎が誘拐されているあいだ、立場上自分で助けにいけない彼は、にゃん渓和尚に助けを頼み、お寺でほとんど寝ないで心配していたようですが、そんな心配も直虎には伝わりません。本人に伝えるつもりがないからです。やっと直虎が帰ってきても、遠くから見ていることしかできず。「心配させやがって」とアピールすることもなく、媚びず、縛らず、彼女を自分一人のものにしようともせず、ただ守り続ける。幸せを願う。そんな愛情ってあるのかな。そして、そんな愛情がむくわれないまま、物語が終わっていいのかな。ベルバラのアンドレだって、最後はオスカルと結ばれるんですけど。(そういえば、オスカルもまあまあ、寄り道してたか…)
 大河ドラマ「直虎」は女性の妄想を結実させたような物語ですね。尼さん、という設定はともすれば初恋以降は恋愛ゼロのカサカサになる危険性もあるわけですが、その設定を逆手にとって、最大限にいかしているようにさえ見えます。誰にも体を与えず、誰のものにもならず、誰にもしばられないまま、夢に向かって一直線、それでも政次のような男たちに大切にされ、守られ続ける。満たされない部分は、ちょっと毛色の違う龍雲丸のような男と火遊び…ってこれじゃあ、男性視聴者がついてくるはずないよ!
 ああ、いったいこの後どうなってしまうでしょうか。私は、政次と碁を打つほのぼのの直虎がみたいんですが…。