どうしてハマっちゃうの!?ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(その2)

 「逃げるは恥だが役に立つ」は6回目まで右肩上がりの視聴率の上昇が続いています。ドラマが好調を維持しているのは、星野源さんの貢献が大きいことは間違いありません。
 恋愛ドラマの相手役といえば、私も大好きなドSイケメン系(特に「のだめ」の千秋さまとか、「ダメ恋」のディーンさんは最高)が主流でしたが、星野さんの登場で、今やそういうS男が、古くさいという印象にさえなってしまいました。実際にS男が周りにいたら、取っつきにくいことこの上ないのではと、そのリアリティの薄さに気づかされてしまったのです。やっぱり、まじめで優しいのが一番だよ、うんうん。
 今日はその星野さんの魅力について考えたいと思います。
 
星野源さんの声がいい
 歌手である星野さんは当初、歌に自信がなくて、楽器によるインストゥルメンタルバンドを結成されていたそうです。だけど私は、星野さんの優しい感じの声が好きです。

 平匡さんは表情を抑える役なので、声の演技が重要かと思いますが、「いいなあ、愛される人は…」などと、平匡さんの切ない心情を、星野さんは声で上手に表しています。心の声も、みくりちゃんとのやりとりも、聞いていて落ち着く。心に染みる。それは持って生まれた星野さんの声の力ですね。
 確かに過去の星野さんの歌を聴くと、うまい、というわけではないのかな、と思います。だけど、星野さんの歌がこれだけ愛されているのは、楽曲のすばらしさと、彼のかざらない柔らかな声によるところが大きいのではないでしょうか。

 

■融合する力
 もう一つ、私が魅力に感じるのは、星野さんの融合(ミックス)する力です。
「逃げ恥」ホームページが星野さんの「恋」作曲に関するエピソードやコメントを紹介していますが、主題歌を頼まれたときには、いつもそのドラマや映画の要素を入れるようにしているとか。
 「恋」を最初に聞いたとき、「夫婦を超えてゆけ」という歌詞が新鮮に感じました。「夫婦」って、演歌でしか聞いたことない言葉が、ポップスのサビに…。ドラマの要素を前向きに取り入れた(融合した)ことで、「恋」には、一つ、突き抜けた魅力が備わったんじゃないかなあ。
 そのメロディラインも、二胡のエキゾチックな調べから始まり、なんだか高校生のころに聞いた「Earth, Wind & Fire」みたいな、踊り出したくなる感じ。彼はこれをブラックミュージックと日本のポップスを混ぜた「イエローミュージック」と称していますが、まさに、混ぜたら楽しくなっちゃった、ってことですね。
 彼の巧みなミックス。その原点は、やはり楽器、つまり音楽にあるのでは、と勝手に思っています。
 ピアノ、ギター、バイオリン…。楽器って、単独でも素敵だけど、合わさることで、豊かな調べを奏でることができる。彼はこれを、メロディ作りにも、歌詞作りにも取り入れている。そうやって、まさかのところに他の要素を混ぜ込んで、ジャンルを軽々と飛び越えていくことで、星野原さんは、彼オリジナルの音楽を作ることに成功しているのではないでしょうか。